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歯肉について

歯は上方部の歯冠、下方部の歯根、そしてその境界部の歯頸と言う3つの部分から成り立っています。歯の周りを歯茎とも言う歯肉、セメント質、歯根膜歯槽骨の4つの組織が取り囲み歯根部を覆っています。歯を包んでいる骨である「歯槽突起」を覆う粘膜を歯肉と言い、歯とぴったりと接着することによって健康が維持されるのと同時に、物を噛んだときに加わる力から組織を守っています。骨側の肉は厚く上皮が幾層にも重なって丈夫な層を形成しています。歯と上皮の間にできる溝に細菌が繁殖しやすく歯周病の原因となることが多くあります。健康な状態ではピンクから薄紅色をしており歯面にピッタリと付着していますが、炎症があると赤色を帯び、逆に貧血などの場合は白色に、機械的な刺激が加わることによって黒くくすむこともあります。

部位によって性状や名称が異なり、付着、遊離、乳頭の3種類があります。大部分を占めているのは可動性のない付着歯肉で、その繊維によってセメント質や歯槽骨に結合しています。これが減少するとプラークコントロールが不十分になったり細菌感染に対する抵抗力が弱くなったりしますので、歯茎をブラッシングする場合は適切な強度で行います。遊離歯肉は、歯頚部の周りを囲み歯肉溝を形成している部位で、歯との境目にあるこの溝からは血清成分が薄められた「浸出液」が出ており、この中には免疫グロブリンや好中球が含まれている為、細菌などが体内に侵入するのを防ぐと言う大切な役割を持っています。歯と歯の間の部分には歯間乳頭と言う部分があり、この部分をマッサージすることで歯周病予防に効果があります。歯間乳頭内にある水平な繊維が歯と歯の間を繋ぎ歯を支える大切な役目をしています。この部分が炎症を起こすと歯間乳頭が平坦化し歯間繊維が断裂して、歯茎の肉が下がり黒い三角形の隙間ができるブラックトライアングルと言われる審美障害の状態になってしまいます。歯肉を含む歯周組織が炎症を起こすと大切な歯の喪失にも繋がり兼ねません。歯科医院での定期的な受診と、ブラッシングや洗口液などを使用した家庭でのセルフケアで予防を心がけたいものです。