象牙質まで進んだむし歯について
【象牙質の構造】
象牙質は歯の主体となる組織で、象牙芽細胞によって作られており、歯冠部はエナメル質、歯根部はセメント質に覆われ、中心部には歯の神経である歯髄を入れる歯髄腔が存在します。組織全体にレンコンの穴のように直径0.8~2.2マイクロメートルの象牙細管という管が無数に走っていて、象牙質の形成や形成後の維持を行っています。そして構成成分の70%は無機質であるハイドロキシアパタイト、残りは有機物のコラーゲンといった軟組織になっており、骨と同程度の硬さを持ちながらも弾力性がある為、歯に受けた衝撃により表面を覆うエナメル質が破折するのを防いでいます。また色は有機成分によるもので名前の通り象牙色をしていますが、個人差から色調は様々です。歯の白さの程度は象牙色が半透明のエナメル質から透けて見えている色で決まり、薬剤服用などで象牙質の変色が生じた場合は歯磨きでの改善は不可能で、歯科医師によるホワイトニングなどが必要となります。
【象牙質のむし歯とその治療法】
歯は表面にある硬いエナメル質と、その内側の弾力性と柔軟性を持つ象牙質の2つの性質が組み合わされて強度を保っています。しかしながらむし歯になった場合、エナメル質よりも柔らかい部位である象牙質まで進んだむし歯は進行のスピードも非常に速くなります。これは進行度合いで言うC2となりますが、むし歯が歯髄に近づくにつれて冷たい物がしみたり痛みを感じたりし、歯の表面はごく小さな穴であっても内部ではむし歯が大きく広がっていることも多々あります。このような場合、多くはコンポジットレジン充填やインレーなどの治療が行われますが、まずレジン充填は、むし歯を削った後の詰め物として見た目の良いレジンを用いるもので、治療にもそれほど手間がかからず保険の適用も可能となっています。一方、インレーは削る部分が大きい場合に使用する詰め物で、保険が適用するものと適用外のものがあります。主に奥歯に用いられ、インレーを作成する際には型取りが必要となるため治療には多少時間がかかります。また広範囲を削る必要があったり、1つの歯に複数のむし歯がある場合にはクラウンを用いた治療になることもあります。このような象牙質まで進んだむし歯の治療においては、削る際に痛みを感じることもある為、症状によっては局所麻酔を使います。治療後暫くは冷たい物がしみたり強く噛み合わせた際に違和感が生じたりする人もいますが、通常は数週間で緩和されますので、普段からのケアと早期の治療で改善されます。