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歯根吸収について

歯根吸収とは、歯根が何らかの原因により溶けてしまう現象を言います。歯根の吸収は生理的な吸収と病的な吸収に分けられます。生理的吸収は、永久歯への生え変わりの時期に乳歯が溶ける現象の事であり、病的吸収は炎症や外傷、矯正などが影響して溶けてしまう現象で、その他にも原因が特定できない場合もあります。軽度であれば経過視察という形がとられますが、重度になると最悪の場合は抜歯という処置がとられます。吸収は内部から始まる場合と外部から始まる場合があります。内部吸収は歯根の中にある歯髄腔側から吸収が始まり外側に広がることで、表面的には変わりませんが、内側の空洞が広くなり、その原因は歯髄の変化によると考えられます。外部吸収は、歯根の表面から吸収が始まりますが、歯の周囲から始まれば歯根が細くなり、歯根の先(根尖)から始まれば歯根が短くなります。その原因は、ほとんどが不明な事で外傷によることが多いです。歯根が吸収しやすい条件には、歯根の先に強い力が加わった場合や、歯根の先が細長い・曲がっている、歯をぶつけたことがあるなど様々です。このように歯根が吸収されて短くなると、歯の寿命に大きく影響します。歯の神経を取り除くことで吸収が止まる事もある為、抜髄をして対応する場合もあります。

歯根吸収は歯科矯正治療によって起きる事例もあります。歯科矯正治療とは矯正装置により持続的な力が加えられ歯を移動する治療で、その力が強すぎると吸収の症状が見出されます。また、ジグリングを繰り返し傾斜して移動させる方法もとられ、それにより根尖が擦り減り吸収される場合もあります。歯科矯正の前にはレントゲン写真などで歯根の形や状況を調べておく必要があります。その際、歯根吸収の可能性やその兆候があると診断された際、治療方法や治療機関の修正を行うことが先決です。歯科矯正をする場合、個人差はありますが歯根の吸収というリスクは避けられないと言われています。しかし、治療後には吸収は止まり、その後は大きな影響を残すことはありませんし、矯正治療が原因で歯が抜けたというケースもほとんどありませんので、矯正治療をあきらめる必要はありません。