ラバーダムについて

虫歯などの治療を行っても、歯髄神経と血管が通っている歯髄の炎症が改善しない状態である「不可逆性歯髄炎」や、根管の感染により歯根の先の根尖周囲に炎症が起きている「根尖性歯周炎」などの場合には「根管治療」と呼ばれる歯根の治療が行われます。この根幹治療は2種類の治療方法があります。歯の神経が生きていて歯髄の炎症が強い場合に行う「抜髄」と呼ばれる歯髄を取り除く方法と、歯の神経が死んでいて根尖まで感染が及んでいる場合に行う「感染根管治療」があり、この症状に関しては根管の細菌感染を取り除けば、多くの場合に治ります。この治療に役立つ器具として「ラバーダム」という歯の治療を行う際に装着するゴムがあります。この器具は広げて口を覆い隠し、治療する歯など必要な部分だけをゴムの外側に出して治療することが可能です。治療中に細菌の侵入を防ぐので、細菌の感染を取り除く根管治療では非常に重要な役割を果たすと共に、必要のない部分に薬が付着することや、リーマーやファイルと呼ばれる器具の誤飲・誤嚥防止にもなります。

根管治療の初回治療時にラバーダムを使用しなかった場合の成功率は約50%以下と言われているのに対し、使用した場合には約90%と明らかに成功率が上がり、初回治療時に使用していた場合には、再治療時の成功率も60%というデータがあります。しかしながら、一般的な日本の歯科医院ではあまり使用されていません。その最大の理由として根管治療の保険点数が低いということが挙げられています。また、平成20年の保険の改正によりラバーダムを保険で使った場合には、保険点数が付かなくなりました。それは、保険で使用する場合にはサービスとして使用することを意味しています。根管治療は医療技術的に非常に難しい治療と言われており、処置の際にラバーダムを使用した適切な感染のコントロールを行わなかったことで、根管治療後の痛みが発生する場合も少なくありません。そこで、利用したいのが根管治療を専門とする歯科医院です。ここでは確実にラバーダムやより治療の精度を上げるマイクロスコープによる治療が行われていますが、保険適用外となることが多く治療費の負担も高額となります。多くの方が適切な治療を受けられるように、早急な是正措置が望まれます。