歯牙移植について
虫歯が歯根にまで達している場合や外傷などにより歯根が割れてしまった場合など、抜歯せざるを得ない場合は元の状態に回復する必要があります。なぜならば、そのまま放置する事で、歯並びや噛み合わせのバランスが崩れ、結果的に健康に悪影響を与えてしまうからです。回復の方法として、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの人工歯を作るという方法が一般的ですが、健康な歯を削らねばならない点や高額な費用、金属アレルギーや違和感などの問題も考えられます。そのような場合は、抜けた部分に親知らずや埋状歯を移動して植える歯牙移植という方法で元の状態に近づけます。この移植を受ける際にはいくつかの条件があります。まず、親知らずや使わない歯などの移植に適した自分の健康な歯がある事が第一条件です。薬事法により抜いた本人にしか移植できませんので、この条件は絶対に必要になります。その他の条件として、全ての歯が健康である、移植歯の形が単純である、移植先の十分なスペースと土台があるなどが挙げられます。また、年齢的には若いほど成功率が高い事や歯が抜けてから間もない方が有利である事から、それらも移植を受ける上での条件になります。さらに、移植歯に親知らずを使う事と抜歯日に移植を行う事が保険適用の条件です。多くの場合、移植後はクラウンを被せる事になりますので、その費用も必要になります。保険適用の場合は1万円前後であり、保険外の場合は4万円~25万円くらいです。治療期間は、移植後、数週間固定する必要がある為、5~10週間程です。
歯牙移植のメリットはブリッジや入れ歯、インプラントのデメリットを補えるという点です。例えば、抜けた部分に自分の歯を移植しますので、ブリッジの様に周囲の歯を削る必要がありませんし、入れ歯と違い自然な噛み合わせが得られますので、しっかりと噛む事もできますし、金属アレルギーなどのリスクもありません。さらに、インプラントの様に高額な治療費がかかりませんし、インプラントができない子供でも移植が可能な点もメリットとして挙げられます。その他にも自分の歯を使用するという事で感染症や拒絶反応を防ぐこともできます。成功率は約80~90%といわれており、40歳以下で抜歯後2か月以内に移植を行えば成功率は高くなるという報告もされています。