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正中線について

歯列矯正にて歯並びを良くする場合、皆さんは何を以て「奇麗な歯並び」と判断するでしょうか。おそらく、明確な判断基準を持っている人は少ないと思います。現在では、矯正歯科や審美歯科など、見た目を意識した歯科治療を行うクリニックも増えていますが、クリニックは、そういった基準を鑑みること無く治療することはありません。人によって美意識や感覚は変化するので、施術者の価値観だけで治療をしてしまった場合には、患者が不満を持つのも当然と言えるでしょう。そういった事態を避けるためにも、審美性の基準を確立することは重要です。では、クリニックは美をどう考えているのでしょうか。ここでは、正中線というキーワードと審美性の関係について簡単に説明していきたいと思います。

まず「正中線とは何か」についてです。物の真ん中、中心のことを正中と呼びますが、歯の正中とは、すなわち前歯の右半分と左半分の分け目のことです。上歯だけでなく、下歯にも正中があります。クリニックでは、この上歯と下歯の正中線が一致することが最も美しいと定めており、矯正治療の最終目標をここに設定しているのです。しかしながら、最も重要なのは「患者本人が納得するかどうか」です。「上歯と下歯の正中が不一致でも構わない」「ある程度の見た目さえ確保できれば問題ない」という考えをもっている人も少なくありません。矯正治療を考えている方は、自分の最終目標がどの程度かについて、施術者と相談することが重要と言えるでしょう。

皆さんは「黄金比」という言葉はご存知でしょうか。黄金非とは、レオナルド・ダ・ヴィンチが人の顔を測定し導き出した、理想的なパーツの配置バランスのことです。1:1.618という比率の美しさは現代でも健在で、この比率に近い顔ほど美しいとされています。また人の顔に限らず、様々な芸術でも参考にされており、この比率を導き出した彼の功績は、ばらつきのある美的感覚を統一した偉業とも言えるでしょう。

最終的には個人の美的感覚を尊重せざるを得ないですが、「クリニックが目指しているのは上歯と下歯の正中線を一致させること」と、明確な基準をもっていると判断が下しやすくなります。そのため上述したことは知っていても損は無いと言えるでしょう。