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抜歯について

抜歯は歯科医が歯科治療のために人為的に歯を抜くことで、進行して歯根治療による完治が見込まれない重い虫歯や、かみ合わせや歯茎およびその周辺に悪影響を及ぼす恐れがある歯をもつ人に行われます。永久歯は二度と生え変わらない大切なものですが、総合的な見地から「やむを得ない」と判断された場合に適用される方法です。現在の歯科医療は歯を残すことを重んじ、以前よりも抜歯による治療は減ってきています。また抜歯した後は、その後の生活へ支障を来さぬよう、入れ歯ブリッジインプラントなどの歯根がなくともできる義歯の治療も必要となります。

抜歯を必要とする虫歯は、う蝕が進んでしまい、歯のエナメル質にとどまらず象牙質歯髄に達してしまっているなどの、かなり悪化したものになります。初期の虫歯であれば、その部分のみの処置をするだけで済みます。ところが抜歯せずに治療が終了した歯(根管治療が済んでいて神経を抜いた歯)でも、虫歯菌が残っていて再び悪化することや、歯の根の先が膿の溜まる根尖病巣となる可能性があります。それには痛みがないものもありますので、定期検診を忘れずに受け、手遅れにならないうちに治療を受けられるようにしましょう。また、口腔内やその周辺の疾患によって抜歯が必要となることや、矯正やアゴの骨折の治療時に、妨げとなる歯を抜くこともあります。歯科医師ではない医師も、治療の際に必要であればこれを行うことができます。

歯を抜く際に日本では一般的に局所麻酔を行います。ほかの国では歯の位置によって全身麻酔をすることもあります。既に生えている歯だけでなく、必要に応じて埋没歯を抜くこともあります。特に親知らずは、虫歯や歯並びなどの問題が起こると、抜くという選択肢が選ばれやすい上、生える前に抜く人もいます。位置や歯の形状によって親知らずは抜きにくい歯でもあり、他の歯より出血も多く、処置の時間も長くかかります。

歯を抜くということは歯科治療の一種ではありますが、最終手段であり、これを避けることはより長く自分の歯でものを噛むためにも大切なこととなります。治療で義歯を入れることはできますが、噛みやすさや噛む力は天然歯には及びません。早期治療と定期検診で歯を守りましょう。