乱杭歯について
乱杭歯は叢生歯とも呼ばれ、一般的に歯並びが特に悪くデコボコの状態を指しますが、八重歯もその状態の一つです。原因は、幼少期に堅い食べ物を摂取しなかった為に噛む力が弱く、顎の発達が未熟となり歯が十分に並びきれない場合や、遺伝など生まれつき歯が顎に比べて大きいことが挙げられます。その他には、乳歯が虫歯などの要因で早いうちに抜けてしまったことで、永久歯が正しい位置に生えなかった場合などが考えられています。この矯正は幼少期の場合、身体の成長や治療費、期間を重視するのであれば、なるべく早く行った方が良いとされていますが、一般的には永久歯に生え変わってから矯正治療をするケースが多いです。しかし、中には永久歯に生え変わるタイミングに少ない負荷で矯正を行う、予防矯正と呼ばれる早期治療を行っている歯科医院もあります。顎の成長の促進や抑制を早期に行う為に「ヘッドギアー」と言う装具を利用して上下の顎の位置のコントロールなどを行ったり、「フェイスマスク」というもので骨格の改善が可能です。見た目が恥ずかしいなどの問題はありますが、基本的に外出時には外しても良いとされ、自宅に居る時だけの装着となるのでこの点の心配も要りません。歯の重なりの程度が強い場合には、健康な永久歯を矯正目的で抜歯する「便宜抜歯」が必要になります。
大人の乱杭歯の矯正に関しては大きく分けて2種類あり、人工の歯である差し歯やブリッジを利用する治療と矯正治療があります。1つ目の人工の歯を使う治療方法は、八重歯など部分的な治療に向いています。歯の全体を削り、神経を取って薬を詰めた後で歯根だけを残し、ここに土台を埋め込んでその上から様々な素材でできた「クラウン」と呼ばれる人工の歯を被せます。メリットは、治療期間が短く3ヶ月から4ヶ月で完了する点で、デメリットは歯を削ってしまって歯根は残っているものの神経を抜く為に、健康の歯と比べてもろくなりやすい点などです。2つ目の矯正治療は歯の全体のバランスを整えて、正しい噛み合わせにする場合に向いています。歯に補正装置を取り付けて、歯を徐々に正しい位置へと戻していくもので、動かすスペースの確保の為に便宜抜歯を行う治療法です。メリットは、自分の歯を残して治療が行えることと正しい噛み合わせに矯正することで肩こりや頭痛などの身体症状の改善も期待できる点があります。一方、デメリットは、治療期間が年単位と長くなりがちで、治療費が高額になる点です。乱杭歯はブラッシングなどの手入れのしにくさから、歯周病のリスクも高まるので、予算なども検討して矯正治療を行うのが最善と言えます。