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フッ素について

ブラッシングは、自宅やオフィスで実施できる歯のセルフケアとして有効です。食べ物のカスや歯垢(プラーク)を取り去り、歯茎をマッサージして血行を良くし、歯周病などを防ぎます。しかし、それだけでなく歯磨き粉を工夫することによって、さらなる歯の疾患予防をすることもできます。初期虫歯の進行を抑えたり、知覚過敏を抑えたりすることで一時期ブームにもなったフッ素入り歯磨き粉がそれにあたります。フッ素とは正式にはフッ化物と言い、虫歯のもととなる酸に強く、歯の再石灰化を促進することで知られているものです。

フッ素は歯に取り込まれるとフルオロアパタイトを形成し、酸に強い歯にしてくれます。また虫歯の菌を繁殖しにくくしてくれます。これはフッ素が、唾液に含まれているミネラルの沈着を助けるためです。歯周病が進行して歯茎が下がり、セメント質や象牙質が表出してしまった場合にも有効とされています。

実際に塗布する方法は「歯面塗布法」「トレー法」、そしてそれをさらに効果的にした「イオン導入法」が主なものとされています。「歯面塗布法」はその文字通り、歯ブラシや綿棒、綿などにフッ化物を浸して歯に直接塗っていく方法です。「トレー法」、「イオン導入法」はそれぞれマウスピース型のトレーにフッ化物を入れ、それを咥えて浸透させます。後者は前者の方法に加え、弱い電流を流してイオン化を促し、よりフッ化物を付着しやすくするというものです。どちらも3、4分ほどで終わります。濃度の高いものを使うことよりも回数を重ねることが重要です。

このように簡単で有効とされるフッ素を用いたケアですが、あくまで初期虫歯や知覚過敏の進行を抑えることや、虫歯予防でのみその効果を発揮します。進行してしまった痛みのある虫歯には効かず、歯科医での早期の治療が必要です。また、子どもにも簡単に、うがいや上記の塗布方法で利用できますが、あまり強いフッ化物の塗布や、塗布を開始する時期の誤りは、別の疾患のもととなる可能性を示唆する論もあり、利用には信頼できる歯科医との相談が必要と言えます。