インプラント矯正について
臨床歯科においては、口腔、咬合、小児歯科など各専門分野がありますが、矯正歯科では歯並びや不正咬合の矯正を行っています。日本人の歯並びは良い方とは言えず、俗に出っ歯と言われる上顎前出、ガタガタになっている歯並びの人を見かけます。これは見た目の問題だけではなく、虫歯になりやすく寿命に与える影響も大きいものがあります。さらに、歯の隙間から空気が漏れ正確な発音ができなかったり、顎関節症、肩こりや頭痛を引き起こしたりします。歯並びや噛み合わせの多くは遺伝的な要素が強く、指しゃぶりなどの小児期の癖や柔らかい食べ物などの食生活も影響を与えています。矯正には様々な方法がありますが、最も一般的なものが「ワイヤー矯正」で、歯にブラケットと言う装置を取り付けそこにワイヤーを通して少しずつ歯を動かしていく矯正方法ですが、この方法に変わって最近注目されているのがインプラント矯正と言う新しい方法です。人口歯根を顎の骨に埋め込むインプラント技術を応用し、矯正専用に開発されたインプラントを顎の骨に埋め込ます。それを固定源にして矯正したい歯を引っ張ります。従来のワイヤー矯正では平均して2~3年の矯正期間が必要でしたが、インプラント矯正では約半年とより短期間に効率よく歯の矯正ができます。埋め込む深さは2~3ミリ程度で、矯正終了後は取り出す為、跡が残る心配もありません。また、見た目にも目立ったり、健康な歯を抜かざるを得ないなどの問題や心配もなくなりました。
治療期間の大幅な短縮や良い治療結果が得られるなどのメリットがあるインプラント矯正ですが、一方で注意点も確認が必要です。この方法は新しい治療方法の為、施術する歯科医院が少ないことや、インプラント手術が必要になるので、その分治療費も高くなることなどが挙げられ、また施術は骨が発達する16歳以上が対象です。矯正中は虫歯にもなりやすく歯のケアにも一段と注意深さが必要になります。インプラント矯正に限らず、歯の矯正後は後戻りを防止するリテーナーを装着し、保定する期間が必要で、最低でも1年から2年ほどかかり、2~3ヵ月に1回程度歯科医院でのチェックを受けることになります。矯正後の最終段階であるこの保定によってその完成度も大きく違ってきます。インプラント矯正を選択する場合は効果と注意点を正しく理解した上で臨む事が大切です。