歯科技工士について
医療に関わらず、他分野でも分業化がなされ、それぞれの職種に専門性が増している昨今では、歯科技工士はなくてはならない存在となりました。この職に就くためには、専門学校での教育を受けなければならず、また、国家試験という難関を通らなければなりません。この職では、義歯の作成が主な業務となりますが、この業務は専門性が高く、高度な技術が必要になります。現在では、歯科医師と歯科衛生士、そして歯科技工士がしっかりと手を取り合うことで、患者の健康が保たれています。患者と直接触れ合うことのできる歯科医師や歯科衛生士と、目に付くことの少ない歯科技工士の違いについて、ここでは簡単に説明していきます。
歯科技工士は虫歯の治療時に必要になる、クラウンや詰め物の製作を行っています。他にも、歯ぎしりを防止するための治療器具であるスプリントマウスガードや、歯を失った時に必要になるブリッジも作っています。これらの加工技術は、歯科医師や歯科衛生士は持っていないため重宝されています。ただし、法律上の制限により、技工士が患者に直接取り付けることはできません。技工士が物を作り、歯科医師や衛生士が取り付ける、というフローが一般的です。
三者が理想的な関係を築けているかどうかが、患者への治療に関係してきます。しかしながら、険悪な関係に陥ってしまっている例も少なくありません。三者の中では、やはり歯科医師の力を持っており、技工士に対して経費削減のために、無理な要求を出すことも多いからです。また、技工士が受け取る報酬にも問題があります。保険点数制度に応じて報酬は決められるはずにも関わらず、製作管理費として歯科医師がいくらか報酬を得てしまい、本来、技工士に支払われるべき報酬が流れてしまっているのが現状です。
歯科技工士は、歯科医療に必要不可欠な存在になりました。これから先、充実した医療サービスを提供していくためには、歯科医師だけでなく、技工士や衛生士の技術も必要になってきます。