インフォームドコンセントについて
インフォームドコンセントは、内科や外科だけでなく、歯科医療にも同じように必要が認められ、多くの歯科医院で実施されています。とはいえ実際に医師を前にすると、治療の前や診察後ですら、不安や怖さ、緊張で充分に説明を理解できなかったり、疑問点や不安なことがあっても言い出せなかったりすることも少なくありません。そんな患者に対してもきちんと治療内容や現状を把握して納得の上で治療を進められるようにさまざまな工夫が医療現場では為されているようです。
インフォームドコンセントとは、医師が患者に対して、患部の状態や治療方法、原因などを説明することを言い、患者はそれによって不安や疑問、不満を解消し、納得して治療に専念できるようになります。治療に選択肢がある場合に、患者に選択権をもたせる「インフォームドチョイス」もこの中に含まれることがあります。これに納得した患者は、書面にて同意を求められる場合があります。
インフォームドコンセントは1990年代から日本でも知られることとなり、現在では大きくその重要性が取り上げられるようになりました。しかし初めは、認知度の低さや、医師と患者の関係が対等でなかったことなどから、患者はその権利を使う機会をあまり持ちませんでした。それが世間に広く知られ、法整備が整い、医師や患者の認識が変わるとともに、積極的に取り組む医師や医院も増えて行きました。
歯科の治療は長期にわたるものも多く、長い通院期間をより快適に効果的に過ごすためには、医師との信頼関係が必要です。説明と納得に基づき、意思の疎通が取れた医師と患者は、病気と闘うためのパートナーとして協力することができます。治療後のケアも、長く良い歯を維持するためには重要です。治療についての情報と、自分の歯の状態を知ることのできるインフォームドコンセントは、セルフケアや治療後の注意点を患者が理解するのにも役立ちます。苦手な人が多いとされる歯医者ですが、一度信頼関係を築けば、次に何らかの歯科疾患をもっても、通院に対する精神的な抵抗感や躊躇は和らぐしょう。