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噛みしめ呑気症候群について

噛みしめ呑気症候群とは無意識のうちに奥歯を噛みしめることにより、大量の空気を唾液と一緒に飲み込んでしまう為に様々な症状が出る状態を指します。症状としては、空気を飲み込み過ぎて胃に溜まることでゲップを引き起こしたり、この空気が大腸まで移動するとお腹が張り、最終的にはガスとなっておならとして排出されるものです。他には胃のもたれや不快感などの胃腸障害、胃や腸に溜まった空気が横隔膜を押し上げ、心臓が圧迫されることで、胸痛や動悸が表われる場合もあります。頭痛や肩・首のこりや顎の痛みが起きる事例もあり、それは奥歯を噛みしめる動作によって物を噛む時に使用される咀嚼筋に負担をかける為です。その主な原因として、ストレスや習慣により奥歯を噛み合わせてしまうことやパソコンに向き合う仕事で上下の奥歯が接触しやすいうつむき加減の姿勢を取ること等があります。心理的な原因によって身体症状が現れる「心身症」に分類される場合が多く、治療は精神科や心療内科での心理療法と、歯科での飲み込みの改善とを組み合わせて行います。

噛みしめ呑気症候群の具体的な治療とは、精神科や心療内科でうつ状態や不安、緊張を抑える為の薬物療法や、医師の指導による自律訓練法、カウンセリングでのストレスの緩和措置などです。歯科的分野で行われるのは顎関節症の治療にも用いられる、「スプリント療法」と呼ばれるマウスピースを用いて奥歯の噛みしめを防ぐ治療法です。上顎に装着すると違和感があるので、日中の覚醒時、仕事や学校の時に原則下顎に装着して行われ、夜間や食事の時、熱い飲み物を飲む場合には外します。装着して2ヶ月から3ヶ月は経過観察が行われ、早い人の場合には2週間を過ぎる頃から症状の改善がみられます。症状の改善にはスプリント療法だけの人も居ますが、より良い治療の為には精神科・心療内科と歯科との共同治療が行われることが理想的です。そのためにも、早期に噛みしめ呑気症候群の診断を受けることが重要です。